夏至といえば、
日照時間が一年で最も長い日ですし、
太陽高度が最も高くなる日です。
今日は、太陽高度について考えてみます。
断面図だと思って下さい。
昔の日本家屋といっても、
築30年や40年ぐらいの家じゃなく、
築100年ぐらいの昔の日本家屋です。
昔の日本家屋のほとんどが平屋建てで、
そして、ほとんどの家の軒の出が
900mm以上になっています。
なんで軒の出がこんなに深いんでしょうか?
エアコンもストーブもない時代だったので、
きっと太陽を上手に利用していたんだと思います。
ちょっと検証してみます。
(今回の検討では、室内の明るさという観点は、無視して下さい。)
福島市(東経140.28・北緯37.44)だと、
夏至の太陽高度は最高で約75°になります。
上記の図では赤いラインです。
上記の図のように、
軒の出が900mmある平屋建てだと、
家の中が日陰になるようになります。
直接の太陽光(熱)が入らない「日射遮蔽」により、
夏場の室温上昇を抑える効果が期待できます。
夏至とは逆に、一番太陽高度が低い冬至は、
太陽高度は最高で約29°になります。
上記の図では青いラインです。
上記の図のように、
軒の出が900mmある平屋建てで、
開口(窓)高さが2mあるとすると、
約3.5m奥まで太陽光(熱)が入る計算になります。
直接の太陽光(熱)を室内に入れる「日射取得」により、
冬場の室温上昇効果が期待できます。
夏場の「日射遮蔽」と冬場の「日射取得」は、
実は、国も効果があると認めております。
2020年からは、住宅を新築する際に
「日射遮蔽」「日射取得」の計算も義務化されます。
国も認めるほどの効果がある家づくりを
パソコンや測量器機械もない大昔に、
「こうすれば良い家が建つ」
と考えられていたことが驚きです。
「温故知新」(おんこちしん)
意味:古きを温ねて新しきを知る
という言葉があります。
「昔のは・・・」とか「古いから・・・」
と決めつけず、
きっと何か理由がある作り方だと考え、
これからの家づくりに役立てたいです。